東京共同会計事務所のお知らせです。

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不動産から再生可能エネルギーへ、新たなプロジェクトファイナンスへの進出:進化するFSビジネス(第2回)

1992年の創業以来、証券化・ストラクチャードファイナンスといったフィナンシャルソリューションビジネス(以下、FSビジネス)のパイオニアとして、そして、金融業界において存在感を発揮してきた東京共同会計事務所。一部では既に成熟したとも言われる証券化業界だが、東京共同会計事務所は、従来にはない証券化案件の組成やビジネスの開発に取り組んでいる。
本シリーズでは、その東京共同会計事務所のFSビジネスにおける新たな取り組みと組織について特集する。

第2回の今回は、東京共同会計事務所のコンサルティング部にて、太陽光発電プロジェクトの証券化アドバイザリーに従事する神田泰斗氏(公認会計士)、松野丈士氏(税理士)のインタビューをお届けする。

不動産証券化ビジネスのパイオニアである東京共同会計事務所が、太陽光発電プロジェクトのキャッシュ・フローモデル作成支援といったサービスに乗り出したのは、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)が導入された2010年代初頭のことだ。
以来、こうしたアドバイザリーサービスは、他の再生可能エネルギーや空港のコンセッションなどにも広がりをみせている。この分野を中心的に担ってきたコンサルティング部の松野、神田の両マネージャーに話を聞いた。

不動産中心のマーケットに見出した太陽光発電ビジネスの証券化アドバイザリー

1990年代中頃以降、資産の流動化に関する法律など関連法令の整備とともに証券化は徐々に一般化してきた。証券化されるアセットは大規模商業施設やオフィスビルなどに代表される「不動産」や、売掛金やローンといった「金銭債権」が一般的だった。
そのような中、証券化の分野において屈指の実績を有する東京共同会計事務所は、いかにして太陽光発電ビジネスの証券化アドバイザリーへと進出してきたのだろうか。

松野 私が東京共同会計事務所へ入所したのは2005年10月です。入所の前から税理士試験に挑戦していて、3科目合格の状態で就職し、入所後に働きながら残り2科目を取得し、税理士となりました。

入った当時は、東京共同会計事務所は、現在のような多様なサービスラインを有しておらず、事務所全体が証券化業務一色でした。
私自身はそんな中で、最初はSPCの会計仕訳や決算業務から始まって、徐々にコンサルっぽい仕事、証券化に関するスキームの相談を受けたり、会計税務意見書を作成したり、といった業務に携わるようになりました。
ただ、2008年にリーマンショックに見舞われたことで、従来の証券化ビジネスは、一時下火になってしまったんですね。

代わって増加したのが、2012年のFITの導入を機に爆発的な拡大をみせた、「太陽光発電プロジェクト」関連の仕事です。それを皮切りに、不動産のような建物・施設ではなく、キャッシュ・フローに重きを置いたプロジェクトファイナンスの業務がどんどん膨らんで、私個人は今ではそちらが8~9割、残りが主として不動産の流動化に係る会計税務意見書の作成、信託に関する会計税務アドバイスなどのストラクチャードファイナンスという感じで取り組んでいます。

神田 私がこの事務所に入ったのは、2015年の1月です。それまでは、大手監査法人で、地銀、リース会社、クレジットカード会社などの金融セクターに属する企業の会計監査をしていました。5年ほどその仕事に携わり、「そろそろ会計監査以外のことをやってみたい」と思ったのが転職のきっかけです。
会計監査ではあまり触れられなかった税務も含めた幅広い仕事のできるフィールドを求めていたところもあり、漠然とですが、こちらに来ればそういう働き方ができるのではないか、という思いもあり、東京共同会計事務所への入所を決めました。
私が入所した時には、既に太陽光ビジネスの案件が軌道に乗っており、入所当初からそれらに関わっています。

事務所内にあるライブラリー 外部倉庫を含めると1万冊程度の蔵書がある

圧倒的に精緻なキャッシュ・フロー作成支援でレンダーのニーズに応え、スポンサーの利益に寄与する

太陽光発電ビジネスは、キャッシュ・フローを精緻に計算することが不動産の証券化以上に重要視される。“出口戦略”として不動産自体を売却できる不動産証券化とは異なり、太陽光発電事業では、発電事業が生むキャッシュ・フローだけによって、発電設備も含めた全コストを賄い、かつ、投資家へのリターンを最大化しなければならないためだ。

松野 再生可能エネルギーに関するビジネスの話をしますと、国が太陽光をはじめとする再生可能エネルギーを普及させるために導入したのがFIT法(2012年7月1日施行「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」)です。発電した電気が20年間にわたって一定価格で買い取ってもらえるという制度で、安定した収益が見込めることなどから、当初は参入する事業者が急増しました。

とはいえ、日本国内では新しいビジネスだったこともあり、金融機関なども新たに適切な会計税務アドバイザーを選任しなければならなくなりました。そうした背景のなか、証券化ビジネスでパイプを築いていた金融機関などから依頼を受けるようになり、さらにその金融機関から事業者様をご紹介いただくこともあり、という循環が生まれ、東京共同会計事務所の関連事業も拡大してきた、というのが大まかな流れです。

神田 私たちの主な仕事の一つが、キャッシュ・フローモデルの作成支援です。今説明があったように、固定価格での買取期間は20年に及びます。あるプロジェクトに関わるレンダー(資金の貸し手)からするとかなり長い期間のキャッシュ・フローに対するファイナンス(融資)になるわけで、そのキャッシュ・フローに対する確実性、例えば「会計や税務に間違いはないか」といった点をしっかり担保してもらいたい、というニーズが現場には強くあります。税務リスクは顕在化しますと、金額的なインパクトが大きく、キャッシュ・フローが大幅に痛むためです。そのレンダーのニーズを、我々が精緻なキャッシュ・フローモデルの作成やチェックキャッシュ・フローによって満たす。
そして、さらには「目論見通りのファイナンスが受けられる(資金調達ができる)」というかたちで、スポンサーの利益にもつながっていくわけです。

仕事はレンダーから依頼されることもあれば、スポンサーに依頼されることもあります。ただ、いずれにしても今述べたようなスタンスで、両者のメリットが最大化できるよう、力を尽くしています。

松野 当社が作成するキャッシュ・フローモデルでは、複雑な税金の計算などをエクセルに反映させており、例えば、同業者が見ても驚くような細かい計算までカバーしています。
我々は公認会計士や税理士ですから、お客さまからすると、「会計や税のことは、的確にこなして当たり前」という感覚になって当然。どんなに苦労して解答をつくっても、なかなか感動はしてもらえません(笑)。けれども、実際に私たちが作ったキャッシュ・フローモデルを見て、触ってもらえると、「ここまで精緻に計算していてすごいですね」「東京共同であれば安心してお任せできます」という反応が、ストレートに返ってきます。そういう技術力の高さも、このビジネスにおける東京共同会計事務所の売りだと思っています。

同じ証券化でも、例えば不動産の場合は、不動産自体が価値を持ち、プロジェクト終了時にも売却できるため、わかりやすく言えば「それがいくらで売れるのか」という不動産が占める価値が大きく、そこが絶対的に重要です。しかし、太陽光発電の場合、プロジェクト終了時に20年経った発電設備に価値を見出すのは困難です。そのため、資金調達においては、「一定の期間に投資を回収しかつ儲けを出す」というそのプロジェクト自体がいくら利益を生むのか、プロジェクトのキャッシュ・フローそのものに依拠することになるのです。そのため、そこには、正確な売上、費用予測のみならず、特殊な専門知識が必要になる税金、税制のファクターがきちんと考慮されていなくてはなりません。

東京共同会計事務所では、それらを正確に反映したキャッシュ・フローモデルをつくり上げるために、会計・税務面を細かくチェックして、必要に応じて修正を行い、さらには要請があれば自らキャッシュ・フローモデルを作成するわけです。
このように、キャッシュ・フローモデルの作成、会計・税務アドバイス、会計税務意見書の作成、それぞれに触れる機会があるという会計事務所は希少だと思いますし、そうした業務に携われていることに大きなやりがいを感じています。

開放的な空間にミーティングスペースが設けられている

「ポスト太陽光」にも事業領域を拡大、再生可能エネルギーのプロジェクトファイナンス

証券化から太陽光発電とカバー領域を広げてきた東京共同会計事務所だが、その手掛ける領域は、他の再生可能エネルギーやコンセッションに関するプロジェクトファイナンスなどにも広がりつつあるという。

神田 プロジェクトファイナンス・ビジネスの中身には、変化もあります。FITによる買取価格が年々低下した結果、太陽光発電のプロジェクトをゼロから立ち上げるという件は、当然減少傾向にあります。
代わって増えているのが、既存のプロジェクトの維持管理や、売買に関連する業務です。例えば、太陽光発電プロジェクトに関しては、プロジェクトの買収に伴う財務・税務デューディリジェンスやバリュエーションといった業務の比重が増してきています。

松野 また、再生可能エネルギーという切り口では、バイオマスエネルギーのプロジェクトにも取り組んでいます。主として海外からPKS(ヤシ殻)や木質チップなどの燃料を輸入して発電し、FITで売電するのですが、例えば、外貨での調達の場合は為替ヘッジ取引が絡むので「その為替ヘッジ取引にヘッジ会計が適用できるか、すなわち、時価変動による想定外の法人税負担(キャッシュ・フローの変動)を防げるか」ということが課題になる場合があります。同じ再生可能エネルギーでも、考えるべきことが違ったりして、そういうところに専門性があり、面白さも感じます。

神田 そのほかでいうと、国内空港のコンセッション(空港管理の民間委託)のプロジェクトファイナンスもあります。これについても、利用客が多く、高い収益性が見込まれる主要空港については、プロジェクトが一巡したので、これからはそれ以外の空港について従来とは異なるコンセプトでアプローチしたり、あるいは空港以外の例えば上下水道などの公共施設のコンセッションを模索したりしていくことになると思っています。

“専門外”を“専門”にできる環境が、次代を支えるメンバーへと成長させる

このような常に変化し続ける業務に触れてきた日々が、自分たちの成長にもつながってきたと、松野、神田の両氏は語る。

松野 このように私たちの仕事は、時代に即して中身を徐々に変化させながら、やるべきことも増えてきています。会計・税務のスペシャリストとしての仕事であるため、公認会計士や税理士の資格や知見が求められますが、さらに何か特別なキャリアを積んでいなければ入所できない職場かといえば、そんなことはありません。私自身も、税理士試験の受験生からの入所でしたが、ここまで成長することができました。大事なのは、学ぼう、吸収しようという意欲があるかどうかだと考えています。
また、縦関係の強い職場ではないので、一人ひとりが主体的に意見を述べ、行動できるのも、自身の成長につながったと感じています。

神田 私自身、今は法人税も消費税も専門家として平然と語っていますが、前職の監査法人では税務を経験していたわけではありませんので、に入った当時は知らないことの連続でした。今は“専門外”と感じていることでも、東京共同会計事務所には学習意欲があれば、十分キャッチアップできる環境があるのは確かだと思います。
また、プロジェクトの進行中にそこに関わるという現在の仕事には、監査という出来上がったものをチェックする仕事とは、別の世界がありました。どちらが良い悪いではなく、私自身としては、新しいフィールドを求めて正解だったと感じています。

かつて、好奇心に胸を膨らませ東京共同会計事務所の門を叩いたふたりの青年が、今では、東京共同会計事務所の次代を担おうとしている。

不動産証券化から再生可能エネルギーへ、新たなプロジェクトファイナンスへの進出。FSビジネスの進化は続いていく。

2020年04月04日 - 11:23